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蒼い鳥の歌

夢キャスと橘蒼星さんと夢女子CP中心の二次妄想置場です。苦手な方はUターン!

蒼星としおり・クリスマスデート 1

未分類

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クリスマスという行事に、わたしはなにかを期待をしたことがあまりない。

キラキラしたイルミネーション、大きなツリーや綺麗なリースを眺めて、

ああ綺麗だね…って、ひとしきり楽しんだら、家に帰ってお酒やケーキ、

鶏肉を食べて、テレビを見て…そんな風に楽しむ行事でしかない。

 

仕事があってもなくても一緒、子供の頃でも、それはあまり違いはなかった。

だけど、今年はなぜが雲行きがちがう。

 

 

「夜景の綺麗なレストランを予約したんです…貴女と、一緒に過したくて」

 

 

そんなことを言われたのは… 実は初めてではないんだけれど、

年甲斐もなく、胸が熱くなってしまって、彼の誘いに応じてしまった。

 

(こんなときどんな服着ればいいの? 明日買いにいこうかな)

(メイクは? もうちょっと頑張ったほうがいいよね、今年の流行ってどんなかな)

 

あれから数日、そんなことばかり頭を巡る。

それがとても億劫で、とてもめんどくさい。 すごくめんどくさい。

だけど、彼のあの真剣な目を思い出すと、そんな気持ちもどこかへいってしまう。

わたしは一体どうしてしまったのだろう。

 

 

クリスマスの約束が決まって以来、カンパニーで彼と会うことがほとんどない。

今年の公演は日替わりだから、よどみなく進行してゆくための準備がとても大変になっていた。

慌ただしく過ぎてゆく時間とともに、約束の日も近付いてくる。

気が重い。

 

 

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今年のクリスマスは日替わり公演。

イレギュラーなスケジュールもあり、正直少し体がキツい。

だけど今日は彼女との約束の日。

心に羽根が生えたようで、自然と足も浮き立つ。

 

クリスマスなんて…と、めんどくさがる彼女をようやく誘えたんだ、

こんなことで、バテてなんていられない。

約束の時間まではまだ充分あるけれど、急いで仕事を片付ける。

少しでも、彼女に楽しいんで欲しい。 少しでも来てよかったと、感じてもらいたい。

そして…できることならば、今よりもっと彼女に近付きたい。

 

緊張はしてる。 不安も、ある。

彼女には何を言っても上手くはぐらかされてしまうし、無理に詰めれば嫌われるかもしれない。

いや…人を嫌うってことがあまりないヒトだから、むしろ今より距離を置かれるかも。

だとしたら、そのほうがきっとつらい。

だけどオレはもう決めたんだ、覚悟して、彼女を迎えよう。

 

 

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「はぁ…緊張してきちゃったよ。 ねぇ、わたしどこも変じゃない?」

「ん? ふふ、大丈夫ですよ。すごく綺麗ですから。」

「ん〜〜……でもやっぱりちょっとハリキリすぎって思っていない?」

「え? 思っていないですよ…本当です。信じてください。」

「……。」

 

蒼星が予約したレストランのあるホテルに到着したふたり。

車を降りてからすぐ、突然しおりはいつもの意気地を失ってしまう。

ついさっきまで、いつもみたいに冗談まじりの会話を楽しんでいたというのに、

いま目の前に広がる、非日常の現実に圧倒されて、しおりは黙りこくってしまった。

 

「しおり…さん?」

「ご…ごめんなさい蒼星くん、わたしやっぱり…。」

「あ、待ってしおりさん、今日はオレがちゃんとエスコートするっていったでしょう?

 だから何も心配しなくて大丈夫ですから、安心して…ね?」

 

挙動不審になるしおりの様子に、蒼星は内心焦りはじめる。

このデートはもともと、一度しおりに断られているのだ。

それでも諦められない蒼星が何度も食い下がり、しおりが折れて受け入れる。

そうやってこののデートは実現したのだ、不安にもなる。

 

「うん…でもわたし…ほら、椅子を押してもらうとか、ああいうの本当にわからないし。」

「椅子ならオレが引きますよ、押すのがオレなら平気でしょう? 大丈夫。しおりさんの

 タイミングで座ればいいんですから。 あと…それ以外でもわからないことは何でも聞いて

 ください。オレに出来ることならば何だってしますから。」

 

そうやって励ます蒼星の言葉にも、しおりの顔はまだ晴れない。

 

「…ねぇしおりさん、そんなに難しく考えないで、ね? 今日は気負わず、美味しいものを

 沢山食べて、お話して… あ、そうだ、今日はしおりさんの好きなあの店のちりめん山椒も

 準備してもらってるんですよ。」

「へ…? え!あの…京都の? あのふわふわのちりめん山椒!?」

「ふふ!そう!あのちりめん山椒だよ。 どんな風に出て来るのかはシェフにお任せしたけどね。」

 

 

(きゅぅぅ…)

 

 

しおりのおなかの音が鳴り、ふたりは顔を見合わせる。

現金な腹の虫の音に、今回ばかりは救われた気がした。

 

 

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蒼星としおり・クリスマスデート 2 に、つづく