蒼い鳥の歌

夢キャスと橘蒼星さんと夢女子CP中心の二次妄想置場です。苦手な方はUターン!

恋咎館・シリウスの恋のはじまりの話

これは とある青年が辿る悲恋の最初のお話し。

ちいさな恋が芽生えるころの。

 

その青年の名はシリウスという。

都会の外れの大きな村の、比較的名の高い領主の屋敷に奉公していた。

そこはれんが造りの大きなお屋敷、人のいい領主さまへの敬意も込めて、町の人々はその屋敷を『煉瓦館』と呼んだ。

 

彼の母も若い頃、この屋敷でメイドとして仕えていたのだが、結婚を機に勤めを終え、愛した男と、その間に出来た息子シリウスと3人で穏やかに暮らしてゆく…そんなはずだった。

ある霧が濃い日のことだった、夫は予期せぬ事故に巻き込まれ不慮の死を遂げてしまう。

未亡人になってしまった彼女。

だが、途方に暮れている場合ではない…幼いシリウスを抱えたまま路頭に迷うわけにはいかない…と、彼女は意を決し、シリウスを連れてふたたび煉瓦館で勤めることを決意する。

 

煉瓦館の領主はとにかく人がいい。それに加えて彼女も有能なメイドだったこともある。

行くあてのない彼女を、館の主人は雇い直し、2人は一緒に館に住むことになるのでした。

 

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この館には実はあまり人が住んでいない。

他の貴族の屋敷であれば三世帯は当たり前にいるような時代、そんな中でこの煉瓦館は領主とその母、それから領主の娘…この3人だけ。

 

そんなこともあってか、お嬢様がまだ幼い頃、シリウスとふたり、庭で一緒に遊んだりすることもあった。

だがそれは幼いうちだけの話し。

年の頃も10をすぎれば、大人達がそれとなく距離をとらせようとしはじめた。

とはいえ、お嬢様にはマナーのお勉強、読書や文字を書く練習などのやることは沢山あったし、シリウス自身も館で働けるようになっていた。

最初のころは手伝い程度で済んでいたことも、シリウスの真面目な性格と器用さで、あっというまに一人前の執事のような仕事ぶりを発揮するようになっていたのだ。

 

そうこうあって、そのうち2人は会わないことに慣れてくる。だが時々、お嬢様が、まだ幼い頃にプレゼントされたオルゴールに耳を傾けるとき「ああ、よく一緒に聴いたな…」と、懐かしく思い出す。

そしてそれはお嬢様の部屋から鳴るその音に気づいたシリウスも同じだった。

そしていつか、ふたりはお互いを懐かしく思い出すようになっていた。

 

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ある日のこと、シリウスがお嬢様の部屋から聞こえて来た音に気がついて、窓に小石を投げて合図する。

「オレも聴いてる」そう伝えたかった。

 

一方のお嬢様は窓の下を覗き込み、シリウスをみつけると微笑みを返す。

それだけのささやかな交流だが、ふたりの間だけに流れる、穏やかな時間があった。

そしてそんな時間はほんの時々、ふたりだけのオルゴール演奏会と称され、誰にも知られず催されるのであった。

 

そう。

モリスという美しい青年が、この館に来るその日までは。